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生活支援相談員の役割

仮設住宅等の入居者は、被災により住居・家族・仕事・学校などの環境が大きく変化し、加えて親族・友人・近隣関係などの人間関係の喪失も重なって、さまざまな不安や生活の困難さを抱えておられます。いろいろな要因が重なっているため、何をどこに相談すればいいかわからない方、そもそも相談する気力も失っているという方も多いでしょう。自分のことを話す、しかも困りごとを話すのは、そう簡単なことではありません。時間と信頼関係が必要です。

こうしたことから、生活支援相談員の存在が重要なのです。すなわち、①相談内容を限定せず、まずは受け止める、②繰り返し訪問し、徐々に信頼関係を作っていく、③信頼関係を基盤に、人々の参加を促していく、という役割は、仮設住宅等入居被災者を支える重要なポイントです。

すでに述べたように、災害時に配置される「生活支援相談員」は、国レベルの制度にはなっていません。したがって、その業務内容についても、定まった一つのものがあるわけではありません。全国社会福祉協議会が作成した冊子『災害時における社会福祉協議会の事業展開と生活支援相談員の取組み』 [2012(平成24)年3月]にも、「社協が開始しようとしている生活支援相談員は、今までの災害における生活支援相談員の活動を踏まえながらも、新たな状況や考え方を加え、これからつくっていくもの」であると記されています。災害の種類や規模、被災地の地域特性、仮設住宅の設置場所や入居者の募集方法などによっても、生活支援相談員に求められる具体的な役割や業務は少しずつ違ってくると言えるでしょう。

たとえば、阪神・淡路大震災の時の「地域型仮設住宅」は、2階建ての寮形式であったこと、入居者は高齢者と重度の障害者のみに限定されており、災害前の居住地には関係なく集まっているという事情がありました。そのため、巡回による安否確認と相談(個人への支援)はもちろんですが、入居者同士の話し合いの場づくり(集団への支援)、周辺の地域住民や団体との関係づくり(地域への支援)もとても重要でした。

それに対して、新潟中越地震・中越沖地震においては、基本的に災害前のコミュニティを維持する形での仮設住宅入居が多かったことから、入居者同士・地域との関係づくり(集団、地域への支援)の必要性は比較的小さく、訪問活動(個人への支援)を中心に展開されました。

このように、重点の置き方に違いがありますが、生活支援相談員の基本的な役割については、全国社会福祉協議会発行の『生活支援相談員の手引き』に、次のように示されています。

生活支援相談員の役割

生活支援相談員は、被災者の福祉課題・生活課題の把握を行ない、支援を要する人(要援助者)に対して、必要なサービス・活動が利用できるよう、相談や調整を行うとともに、既存のサービス・活動で対応できないニーズについて、自ら支援を行います。また、要援助者に寄り添って、個々のニーズに応える支援(個別支援)を通してその自立を促進するとともに、住民同士のつながり、助け合いの力の支援(地域支援)を行います。

では、東日本大震災の場合は、どのような特徴があり、生活支援相談員にはどのような役割が求められるのでしょうか。東日本大震災では被害が広範かつ甚大であったため、災害前のコミュニティを維持する形での仮設住宅等への入居は、一部でしか実現しませんでした。さらに、今回の大きな特徴は、いわゆる「プレハブ型仮設住宅」への入居よりも、「民間借り上げ住宅」への入居の方が多いということです。とくに、福島県の場合は、その傾向が顕著です(表参照)。民間借り上げ住宅入居者は、点在しているためその存在が地域に埋没してしまい、いわば“見えない仮設”“見えない避難者”になってしまうという課題を抱えています。

福島県における仮設住宅等の入居状況
さらに、福島県の場合、「避難住民向け仮設住宅」と「自罹災住民向け仮設住宅」があり、一口に生活支援相談員と言っても、所属する市町村社協によって次の3つのパターンの支援活動が考えられます。

生活支援相談員3つのパターンの支援活動

これらのことから、東日本大震災においては、「個人への支援」はもちろんですが、それと同じくらい「集団への支援」(プレハブ型仮設住宅内でのつながりづくり、民間借り上げ住宅入居者同士のつながりづくり)と、「地域への支援」(避難している人と避難先の地域住民・団体との関係づくりなど)が重要となることがわかります。

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