ケース8 仮設住宅の避難者も月日とともに県内外へ転居する世帯も出てくる一方で、これからもしばらくは仮設住宅等での生活を送られる方々も少なくありません。2年半、3年後と、また新たなニーズが生まれ、支援の必要性が出てくるのだろうと思いますがなかなか先を見越した準備ができません。 | はあとふる・ふくしま

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避難者への生活支援とボランティア活動を伝えます

ケース8 仮設住宅の避難者も月日とともに県内外へ転居する世帯も出てくる一方で、これからもしばらくは仮設住宅等での生活を送られる方々も少なくありません。2年半、3年後と、また新たなニーズが生まれ、支援の必要性が出てくるのだろうと思いますがなかなか先を見越した準備ができません。

地域支援編

原発事故災害に対してなかなか先が見えないといわれる状況のなかでも、今後、避難生活のニーズが変化し、新たな支援策を立てなければならないことは予想できます。阪神淡路大地震以降、積み上げられてきた大災害被害からの復興の取り組みから学べるものがないでしょうか。

避難者の生活ニーズの変化を予測する重要性
○状況の変化
災害発生からの時間の経過で、被災されたみなさんや地域の様子がゆるやかに変化し、支援開始当初には予測できなかった新たなニーズも発生してきます。季節の変わり目、さまざまなパターンでの入居者の移動、支援者の減少、世間の関心の低下、法制度上の変更・終了などがその潮目になることが多いようです。

○個別化の進行と支援者としてのスタンス
こういった全体的な要因に加え、個別の要因を見てみると、人間関係の複雑化や生活課題の個別化・細分化が進行することも挙げられます。
例えば、避難所→仮設住宅→自宅再建or復興住宅と、住まい方だけをとってみても、その歩みには個人差や地域差があります。また一般的には、経済的な状況、家族環境、周囲との人間関係、ご本人の能力や意欲など、さまざまな要因によってこの差は緊急支援期より復興期に向かうにつれ、より広がる傾向にあります。

○対症療法から予防的な対応へ

では、この状況に対して私たちは、どのように考え、対処したらよいのでしょうか。
支援方針を考える際には、【『情報収集』→『予測』→『考察』→『対策実施』→『評価』→『改善』】というプロセスを経ていきます。まず大切なのは、このプロセスの起点となる情報収集。これまで以上に個々の多様な、そしてより深刻なニーズに向き合うために、広範囲からの情報収集が必要になります。

本人や家族の何気ないひと言や振る舞いはもちろん、行政(復興施策)・地域社会(キーパーソンの動向や寄り合いなどの雰囲気)・周辺住民や他の支援者の気づきなど、情報を得るルートやチャンスはたくさんあります。ケース検討や連絡会議などで共有・検討し、サインを見逃すことのないようにしたいものです。些細な兆候を見逃さない、関係機関との緻密で広汎なネットワークが求められます。


今後考えられる新たな住民ニーズ
仮設住宅は自助力の弱い方々が取り残されがちになります。この流れに任せてしまうと、これまでは住民の相互扶助が成り立っていた仮設住宅コミュニティが、たすけあい機能を低下させてしまいます。

また、仮設住宅外に転居した方々も『すでに被災者ではない』などの誤解から、支援や情報と切り離されてしまう現象も起きてきます。

今回の大震災では被害が甚大だったことや今なお原子力災害が継続していることもあり、特に復興の長期化・複雑化が予測されます。今後起きうることの予測ロードマップを作ってみるなど、各種支援者間や住民のみなさんと共通のビジョンを確認することも有効です。

また、仮設住宅で形成された人間関係が、復興住宅に移る際に(住まい方の再編に伴い)途切れてしまうことも予想されます。引っ越しの支援やサロン活動、定期的な訪問やイベントへのお誘いなどを通じ、これまでのつながりを維持したり、移住した先での新たなつながりづくりが必要になります。

こうやってみてみると、お住まいのみなさんを被災者・弱者とだけ見る視点だけでは、ニーズの変化を捉えきれなくなってくることに気づかれるのではないでしょうか。

復興住宅などへの移行の支援
これまでの復興住宅などへの移行期には、こんな困りごとの例も見られました。

①引っ越し先周辺のお店やバス路線、いざという時の避難経路や避難所など、生活情報がわからない

②新しい住宅がオール電化で使い方が分からない(説明は受けたが1回限り、とか)

③公営住宅以外へ移行したため、支援が届かなくなってしまった

今回の震災では高台への集団移転などもあり、買い物や通院など、生活環境の大きな変化による影響も大きいと考えられます。

仮設住宅から復興公営住宅などへの引っ越しの際には、ボランティアを募集して輸送だけを行うのではなく、荷造りや荷ほどき、引っ越し後の訪問を通じて、暮らしの困りごと・将来への不安をキャッチしていく機会と考えることも大切です。

(李仁鉄)

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