ケース4 昨年末に始めた集会所を使ってのお茶飲みサロンの参加者が固定化しています。新しい人が来ても馴染みのメンバーで固まってしまい入りにくい雰囲気になってきました。 | はあとふる・ふくしま

loader
はあとふる・ふくしま
避難者への生活支援とボランティア活動を伝えます

ケース4 昨年末に始めた集会所を使ってのお茶飲みサロンの参加者が固定化しています。新しい人が来ても馴染みのメンバーで固まってしまい入りにくい雰囲気になってきました。

地域支援編

 社協(相談員)が仮設住宅の自治会などに呼びかけて「サロン」を始めた場合、時間とともに出入り自由な集いの場から特定メンバーのたまり場になってしまい、相談員はそのお世話役になっているような場合があります。どのような改善をはかったらよいのでしょうか。
サロン開催の目的と相談員の役割は
 第1章の活動例③にあるように、住民がつながる場(機会)をつくることは、相談員の活動における大きな柱の一つです。さまざまな事情を抱えた方同士が気軽に集える場を介してつながり、一方的な「支援される対象」から、お互いを気づかい、支え、支えられる関係へと住民の意識や行動が変化していくことを支援していきます。

 サロンの機能は、身近な場所で誰もが気軽に集い、趣味活動や食事、レクリエーションなどを通して仲間づくりを行うと同時に、さまざまな情報交換や、民生委員やボランティアによる見守りを通した「課題発見の場」といえます。そして単発的、イベント的なサロンではなく、孤立や孤独を解消する「日常的な居場所」へと発展することを目指していく必要があります。

 サロンは地域によってさまざまな運営形態がありますが、対象が「サロン=高齢者」となっていないでしょうか。往々にしてサロン参加者は高齢女性で、元気な方が中心になってしまいがちです。こういった固定化の原因は参加者側に問題があるのではなく、運営者側が参加の間口を狭くしているとも考えられます。相談員だけが悩みを抱えるのではなく、サロンの価値を共有できる住民の意識を高め、関係機関も巻き込んで課題解決に向けた取り組みを進めるネットワークをつくっていくことが相談員の役割です。

サロンを担う住民を養成する場や機会をしかける
 サロンが地域住民の主体的な活動へと変わっていくためには、サロンの担い手を養成していく必要があります。その中心的な役割を担うキーパーソンになり得る人は、民生委員や日頃からボランティア活動をされている方などが考えられます。市町村単位で「サロンリーダー養成講座」を企画して、サロン運営の基本的な考え方や、レクリエーションのメニューを楽しみながら学び、他所のサロンの内容を情報交換して悩みを共有するなど、運営の楽しさややりがいを持ち帰ってもらい、地区でサロンを運営するボランティアを募集するなど、住民と相談員が役割分担し、協力して運営できるようにします。サロン運営者はつながりづくりのコーディネーターです。その役割を地域で生活をする住民が担えるように支援していくことが重要です。

 住民が主体的に運営していけるようになると、サロン参加者にのみ楽しみを提供すればいいのではなく、むしろサロンに来ない、来られない方こそ問題を抱えていらっしゃるのではないかという気づきが生まれ、新たな活動への転機になります。相談員は、サロン活動についての振り返り会議などで、サロンに来ない方へも関心を高めていけるよう支援し、運営メンバーがサロンで用意したお菓子のおすそ分けを持って訪問して実情を把握するなど、サロンから幅広い見守りへと住民主体の活動を発展させていくようにします。

 また、サロンの目的が仲間づくりや孤立防止であるならば、あなたが支援する地域の気になる人が、サロンには来なくても他に居場所があれば、その場がその人にとって居心地のいいサロンであると言えます。誰かの家の縁側や、公園のベンチなどで「ミニサロン」のような関わりが行われていませんか? それらを見逃さず、積極的に声をかけていくことも必要です。自ら選択し、参加できる居場所が豊富にあるという環境をつくるための応援をしていきましょう。

幅広い住民が参加できるサロンのコツ
 より多くの方が参加しやすい環境づくりのために、ある市のふれあいサロンでは、新年度になると「サロン入学式」という催しを行い、広く告知することで、サロンへの参加を促し、固定化を予防しています。また、誰でも集えるサロンとは別に、同じ趣味の仲間が集まる講座や教室なども参加の選択肢を広げる方法です。たとえば、絵手紙教室、手芸、ビデオ上映会などや、囲碁や将棋による男性を主な対象とした集いの場づくりも「それなら行ってみようか」という参加意識を促す効果があります。時には「お出かけサロン」なども効果的です。ワンコインカフェなど、日頃のサロンとは趣向を変えて「いつ来てもいつ帰ってもいい」という方法で、子ども、若者、男性など日頃参加しない方が参加するようになったという事例もあります。

 また、保健師や看護師などが健康チェックや介護予防教室を行う時間を設けたり、外部のボランティアがやってきたりすることは、一部の人しか集まらない閉鎖的な場をオープンで公共性の高いサロンへと変化させる効果もあります。新しい風を入れ、場の空気を変えるための外部支援者との連携も積極的に図っていきましょう。

(井岡仁志・土谷一貴)

ハンドブック内検索


ハンドブック目次


ハンドブックPDF