ケース2 何度も訪問していますが一度も顔を見せてもらえません。仮設住宅のお隣の住人の話では中高年の男性が独りで暮らしているようで、仕事もしていない様子です。 | はあとふる・ふくしま

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ケース2 何度も訪問していますが一度も顔を見せてもらえません。仮設住宅のお隣の住人の話では中高年の男性が独りで暮らしているようで、仕事もしていない様子です。

個別支援編

訪問を拒否されている場合、とくに他の支援機関や具体的なサービスも入っていないようなケースにはどのようにアプローチしていけば良いのでしょうか。
就労意欲を萎えさせている背景や理由として考えられることは
東日本大震災により、慣れ親しんだふるさとや家族、友人と離れて仮設住宅等で暮らすことの寂しさ、また、いつ震災前の通常の生活に戻れるのか分からない苛立ち、今後に不安を抱えながら生活することは、想像を絶する辛さがあると思われます。

そんな不安などから、仕事をする気力を失くしてしまった方、震災の影響により失職、失業してしまった方などがいます。また、失業手当や東電からの補償金の支給などが、早期に積極的な求職活動をすることを阻害してしまった理由の一つとして言われています。

とくに働き盛りである中高年の男性にとって「仕事をする」ことは、これまでの生活の大部分を占めていたと考えられます。「仕事=自分の居場所」という考え方は決して正しいとは限りませんが、仕事を生きがいとしてきた人は大勢いるはずです。

このような状況のもとで「自分の居場所」を取り戻してもらうには、生活や仕事に対する不安を少しずつ取り除いていくことが必要です。

相談員は、さまざまなアプローチから、被災者の寂しさや苛立ち、不安を取り除くことで、自分の居場所を見つけてもらい、生き生きとした生活を取り戻すためにも、じっくり寄り添って支援することが求められます。

訪問拒否への対応と支援方針を決めるポイントは
訪問拒否の対応として、まずやるべきことは、相手の情報を集めることです。震災前の居住地や生活環境、近所との付き合い方、趣味、仕事といった情報を当時の民生委員・児童委員や区長(自治会長)等から収集、確認することで、支援方針のポイントが見えてくると考えられます。

たとえば、相談員の性別や年齢、訪問する時間帯、言葉のかけ方など、これまでと違うスタイルで訪問活動をしたり、相手の気持ちを引きつけるような情報等(サロン・イベント・公民館活動)を手紙や手書きのメモで書き残したりすることも効果的な手法といえます。

訪問拒否で会えないことに悩むよりも、その方が自分のスタイルで生活をされているならば、その生活を見守るもことも有効な支援と考えられ、必ずしも具体的なサービスを提供することだけが支援ではありません。相談員がボランティアや近隣住民等と協働で見守っていくこともその役割の一つです。

けっして、「これをしなければいけない」「あれをしなければいけない」という固定観念にとらわれずに、ご近所の力を借りて見守りを続け、何か変化があったときに、情報を提供してもらうような仕組みを構築すると良いと思います。

中高年男性のひきこもりに対するアプローチ
相談員にとって中高年男性の引きこもりへの対応は、最も難しい支援と考えられます。

基本的な支援方法としては、継続しての訪問活動とサロン等への声かけになると思います。その際に、参加者として声をかけるのではなく、協力者として声をかけてみるのも良いのではないでしょうか。中高年男性にとっては、目的がなく、ただサロンに参加することは、とても居心地が悪いようです。

これは、前述したように、相手の情報を把握し、その方が「好きなもの」「得意なもの」を担ってもらうことで、サロンやイベントに参加しやすい環境を作ることができます。実際に、ギター演奏が趣味な中高年男性がサロンの主役(講師)になって活躍したケースもあります。

また、同年代の男性から声をかけてもらうことも大切なことです。同性の同世代が誘ってくれるだけで勇気が湧いてくると話してくれた方もいらっしゃいました。相談員は、自分だけで解決をしようとせず、ケース検討会などで話し合いを持ちながら、その地域にいる協力者を見つけて、間接的に支援するのも良いでしょう。



(草野淳)

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