ケース1 前任者が退職し担当を引き継ぎました。去年から4度目の担当替えで、訪問前に電話を入れると「また変わるのかぁ、もう来なくていいよ」と言われてしまいました。 | はあとふる・ふくしま

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避難者への生活支援とボランティア活動を伝えます

ケース1 前任者が退職し担当を引き継ぎました。去年から4度目の担当替えで、訪問前に電話を入れると「また変わるのかぁ、もう来なくていいよ」と言われてしまいました。

個別支援編

 相談員の退職や支援の方針等から担当替えを重ねることがあります。避難されている方にとってはまた一から関係を築かねばならないことで否定的な言葉が出ることも少なくありません。とくに、“もう来なくていいよ”などのネガティブな反応にどう対応したらよいのでしょうか。
「もう来なくていい」の背景や理由として考えられることは
 避難生活が長期化すると、やり場のない怒りをどこにぶつけていいのか分からず、心情的に些細なことにも敏感になってしまいます。

 生活支援相談員(以下、相談員)の退職のみならず、担当替えは組織の側としては支援方針や意図をもって行うものでもありますが、避難者に負荷をかけることがあるという認識は重要です。とくに“よい関係”にあった場合はなおさらでしょう。やっと築いた信頼関係が崩れてしまい、相談員に対する不満と怒りが表れています。担当替えになった理由を明確に伝えていなかったり、電話で事務的に伝えてしまったり、などの対応が、相談員や社協に対する不信感につながりかねません。避難者の立場に立ってどのような対応をすべきかを組織で検討すべき課題です。

担当替えした(する)場合に留意すべきことは
 担当替えが決まったら交代前に時間をかけて後任者を紹介できるような訪問をし、顔つなぎをします。そして、担当替えをした(する)理由を明確に伝えることです。なかには、信頼関係ができていてとても残念がる避難者もいます。しかし担当替えになっても、「変わらぬ支援体制で見守りますよ」という活動姿勢を示せば理解していただけると思います。その残念さや不満も含めて受け止めるという気持ちを持って向き合うことが重要ではないでしょうか。

 切れ目のない支援をするためには、前任者からの引き継ぎが大切になります。新しい担当者としてできることは、前任者が残した個別支援シートの記録を細かくチェックして疑問点を確認しておきましょう。すでに聴き取っている情報を繰り返し質問したりすることのないように気をつけます。特に要援護者世帯の状況はきちんと押さえておく必要があります。これは対象者が受けている支援について自分からは言いにくい内容が多いと考えられるからです(生活保護、介護保険、精神障害への支援など)。

 そして、あらためて信頼関係の構築です。避難者の日常のことや生活の変化をよく把握し、住民感覚で接しながら、客観性を持って支援に臨むことが重要です。収集した情報(アセスメントや支援内容等)は、訪問時にも会話のなかにうまく織り込んで「私のことを気にかけてくれているんだ」と安心感を与えることです。避難者のもとへ訪問し、寄り添いながらつながりをつくり、その中から生活課題や福祉課題を把握し、早期支援に結びつける活動が信頼関係につながっていきます。

組織としての訪問活動、チームで対応していることに理解を求める
 事例のように拒否反応を示された場合には、こちらの都合で担当が変わることを誠心誠意お詫びすることです。上司に同行訪問をお願いしても良いでしょう。そうすることで相談員の訪問活動は社会福祉協議会の業務であることを避難者に再認識してもらうことになるからです。訪問支援活動は社会福祉協議会という組織としての取り組みであり、チームで対応していることを理解してもらうことが大切です。

 ポイントでもふれましたが、担当替えにはネガティブな側面だけがあるわけではありません。定期的にチームメンバーの入れ替えをしたり、シフト制を取ってつねに複数の相談員が関わるようにするなど、特定の関係のみが長期にわたらないようにルールを決めている組織もあります。支援の方針を立てる際にも、複数の相談員が関わることで、多角的な視点からの意見交換やケース検討が可能になるというメリットもあります。





(黒木洋子・根本光洋)

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