住民交流スペース「おだかぷらっとほーむ」 | はあとふる・ふくしま

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住民交流スペース「おだかぷらっとほーむ」

2016/07/05
 

小高の未来を考えて行動を起こすきっかけになるような
新しいコミュニティの構築を目指しています

住民交流スペース「おだかぷらっとほーむ」は、南相馬市小高区を訪れる人が好きな時に来てお茶を飲んだり話をしたり、区内外の人の情報を受発信できる場所として平成27年10月に開設されました。以来、避難指示解除に向け実施されている準備宿泊で訪れる皆さんの休憩場所、住民同士がつながる場所、講座、講習会の会場など、様々に利用されています。
JR小高駅の通り沿いにある「おだかぷらっとほーむ」を訪ねて、これまでの取り組みとこれからの役割、活動について伺いました。


避難指示解除に向かう小高区に誰でも気軽に
立ち寄れる場所として誕生した住民交流スペース

南相馬市小高区は、東京電力福島第一原子力発電所から20km圏内に位置する避難区域です。事故直後から域内の全住民約1万3,000 人が避難生活を余儀なくされていました。これまで市は、避難指示解除準備、居住制限両区域の指示解除の目標を平成28年4月としていましたが、同年5月に「相馬野馬追」の10日ほど前になる7月12日と決定しました。

避難指示解除へと向かう小高区には、これまでゆっくり休んだり、話ができる場所がありませんでした。そこで、誰でも気軽に立ち寄れる場所として住民交流スペース「おだかぷらっとほーむ」が誕生しました。

室内には、無料で使えるフリースペースと喫茶コーナーがあり、電源、無線LANも備えています。利用できるのは、月曜日から金曜日の午前10時から午後3時まで。道路を挟んだ斜め向かいには無料の駐車場もあります。

運営主体は、住民有志による「小高を応援する会3B+1」(以下、「小高を応援する会」)です。ほかに「カリタスジャパン」「ふくしま連携復興センター」「東日本大震災支援全国ネットワーク」「ジャパンプラットフォーム」など、小高の社会資源ともいえる複数の団体が登録していて、月に1度定例会という形で支援ニーズのマッチングや運営についての話し合いなどを行っています。

住民交流スペース「おだかぷらっとほーむ」

住民交流スペース「おだかぷらっとほーむ」

住民交流スペース「おだかぷらっとほーむ」

住民交流スペース「おだかぷらっとほーむ」



▲旧すずきミート1Fにある「おだかぷらっとほーむ」。
利用は月曜日から金曜日の午前10時から午後3時まで。
※土曜・日曜は、予約・連絡いただければ利用可



“地域の再生”と“人間復興”を目指す「おだかぷっとほーむ」の活動

①街づくりやコミュニティー再生を目的とした催し等を、他団体等と連携しながら推進する活動
②南相馬市を知っていただくための情報発信や視察等を企画運営する活動
③市民参加と協働による街づくりに必要な意識の醸成のための講演会等を行う活動
④花と緑いっぱいの街づくりを目指し、市民の心の復興に取り組むために必要な植栽植樹等を行う活動
⑤産・学・官および地域の振興等に取り組む市民活動団体・ボランティア等との連携を行う活動



コミュニケーションスペース、シェアオフィス、
情報受発信基地、相談窓口など多様な役割を担います

「おだかぷらっとほーむ」の目指すところを廣畑裕子さん(小高を応援する会代表)に伺うと、
「一人ひとりができる事を持ち寄り、地域の未来を考え行動を起こしていけるきっかけになるような新しいコミュニティの構築です」
と話してくださいました。

フリースペースの使い方は、あくまでも自由です。みんなで集まって編み物やクラフトを教え合ったり、ゲームをしたり、お昼のお弁当を持ち寄って食べたり、思い思いに過ごしていかれます。以前、

「南相馬市の広報誌が届かない」

と苦情を伝えに来られた方もおられたそうです。

「言える場所があってよかったですよ。いろいろ思い悩んで勇気を持って来られたはずですから。行政につなぐのがここの役目」

と廣畑さん。

南相馬市の広報誌や廣畑さんらが昨年11月から編集・発行している「おだかだより」をはじめ、様々な団体が主催するイベント、講座、講演会情報など多様な情報が集まる「おだかぷらっとほーむ」には、生活支援相談員の皆さんも立ち寄ります。避難指示域解除後は、小高区内の見守り活動も増えます。

「待ち合わせ場所として使っていただいてもいいですし、まだ住まいが整わないから場所を変えて話しましょうか。なんていうときに『おだかぷらっとほーむ』なら場所もわかりやすいし、行きやすい。落ち着いてゆっくり話せると思います。」

「小高を応援する会3B+1」代表の廣畑裕子さん
▲「小高を応援する会3B+1」代表の廣畑裕子さん


■月刊「おだかだより」■

「小高を応援する会3B+1」が毎月8,000部発行している「おだかだより」は、少しずつ、一歩ずつ、歩んでいる南相馬市小高区を多くの人に知ってもらいたいと思って始めた情報紙です。サイズは、A3二つ折り4ページ。

表紙は、四季折々の小高の風景と行政や小高を思う人々から届くメッセージを紹介しています。中面は、暮らしや住まいに関すること。南相馬市のホームページから本当に必要なものをピックアップして掲載しています。

写真右下の「緊急情報等メールサービス事業」は、4年前の情報です。「まだ知らないまま人もいるかもしれないので」と廣畑さん。「最近、配信される内容も良くなってきたので平成28年2月号に載せました」。


▲平成28年2月号に掲載された「緊急情報等メールサービス事業」



小高のまちなかに人がいて明かりがともる
小高の風景になりたい

「おだかぷらっとほーむ」と他団体との連携事例ということでは、“相馬広域こころのケアセンターなごみ”が毎月第3水曜日に開催している「ぷらっとヨガ教室」があります。

「小高で集客するのは、難しいという話をしたのですが、誰も来なくても開催し続けると言ってくださってね。」

セルフマッサージや簡単なストレッチを体験できるヨガ教室には、地域の住民だけでなく支援者や用事でたまたま小高に来られたという人も参加して身体と心を緩めていかれるそうです。

「そもそも私たちは、利用者数にこだわっていないのです」。カウントはしていますが、大切なのはもっと違うところにあるといいます。

「答えは『風景』です」。街中を通るときに電気がついているところがあったらあったかい気持ちになりますよね。ずっと人のいる風景がなかった小高に人がいて、明かりがついている。そうした風景になって、小高に来られる皆さんに温もりを届けたいと思ったのだそう。廣畑さんたちは、誰もが風景になれる自然な仕掛けとして「おだかぷらっとふぉーむ」にトイレを作りませんでした。理由は、簡単です。1分歩けば「浮舟ふれあい広場」があります。小高駅にもトイレがあります。トイレに行きたい人は、外に出て街中を歩いていただくようにしたのです。そうすることで結果として、人が散歩をしている風景が一つできます。誰もが参加できる賑わい支援というわけです。

「浮舟ふれあい広場」。土曜と日曜の両日、午前10時から午後2時まで「ひまわりカフェ」を営業しています
▲「浮舟ふれあい広場」。土曜と日曜の両日、午前10時から午後2時まで「ひまわりカフェ」を営業しています

JR小高駅
▲JR小高駅



避難指示解除後は必要なものやことが
どんどん立ち上がりどんどん淘汰されていく時期

ところで、「おだかぷらっとほーむ」の行く末ですが、このまま長く続けていくことを望んでおられるのかと思いきや廣畑さんの答えは意外でした。

「スタートしたばかりで申し訳ないのですが、最初から閉じる日のことを考えています。」

理由はこうです。

「避難指示解除後は、ますます人の動きも活発になっていくでしょう。必要なものがどんどん立ち上がり、同時にどんどん淘汰されていく。私たちは、そうやって本当に必要なものだけが残っていくんじゃないかと考えています。『おだかぷらっとほーむ』も日々、淘汰されたいと思っています。時期としては避難指示解除後から半年、もしくは1年あたりを考えています。」

なんと潔い決意なのでしょう。もっと深い理由を廣畑さんは、

「私が大事だと思っていることを、他の方々も大事だと思うとは限らないと思う」と前置きして続けます。「様々なNPOや団体が集まっていろいろな事業に取り組む時期って結局、行政の手がまわらない時期だと思うんです。本来は、行政の仕事だったりするわけですよ。私たちの活動を見て行政に考えていただく。そういうきっかけになればと思っています。」



人と人を繋ぎ小高の未来のための行動を起こす
拠点としていよいよ本領発揮

小高区は、避難指示解除に向かって居住人口が増えています。南相馬市のホームページによれば、平成28年6月16日現在の小高区の居住者数は97人です。廣畑さんは話します。

「これからどうするか。私たちはいつも問われてきました。そして問われるたびに自分で決めるという作業に、戸惑い迷いながら歩いてきました。しかし、いよいよ自分たちのことを自分たちで決めなければならない時期が来ました。日本は、人口が減っていく心配をしていますが、移行期に入る小高区は逆。これから人が増えていくまちです。増えるにつれて必要となるものをきちんと整えていけば、私はすごくいいまちになると思っています」。

震災から5年。「いろいろ手がけてきたけれど何が正解か今もわからない」と話す廣畑さんですが、心はまるで羅針盤のようにいつも前を向き続けています。「今、考えているのは、平成29年の春をめどに統合される県立小高工業高校と県立小高商業高校に通う生徒たちのこと。以前は、高校の帰りにパンを買って食べたりできる楽しい場所があったんですよね。そこを何とかしたい」。

人と人を繋ぎ小高の未来のための行動を起こす拠点として開かれた「おだかぷらっとほーむ」。避難指示解除となる7月12日も迫ってきています。いよいよ本領発揮です。


■連絡先■

おだかぷらっとほーむ
〒979-2121 南相馬市小高区東町1丁目59
TEL&FAX 0244-26-5856
http://3bplus1-odaka.jp/
hirohata@kyodo.0240.jp


●取材を終えて●

「おだかぷらっとほーむ」を開設する前、廣畑さんは原発事故で農業ができなくなった方々のための花農園「のらとも農園」を立ち上げ運営していました。鹿島区の仮設住宅に隣接する遊休農地を期限付きでお借りし、ビニールハウスを建てて近隣の皆さんと花の苗を育てる活動などをなさっておられました。

約束の3年目を迎えた「のらとも農園」は、現在、規模を縮小しオープンガーデン「のらともはなかふぇ」としてJR小高駅前の一角で町に彩りを添えています。

はなかふぇの隣は、アンテナショップ「希来(きら)」、「双葉屋旅館」もあります。「希来」の隣は「小高ワーカーズベース」。お向かいは「東町エンガワ商店」。徒歩1分で「おだかぷらっとほーむ」、その先に「ひまわりカフェ(浮舟広場)」と続きます。小高の笑顔が軒を連ねる駅前通りには、小高の明日を拓くエネルギーにあふれていました。

(井来子)



▲JR小高駅前にある「のらともはなかふぇ」


▲駅前通りと小高区を見守る3本のあすなろ

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