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避難者への生活支援とボランティア活動を伝えます

多種多様な力を繋いで最大化させ地域住民が心豊かに暮らす環境を創造します

2015/01/19
 

住民が心豊かに暮らせるまちづくりを目指しています

 NPOほうらいは、福島市南部に位置する蓬莱団地を中心に松川、立子山、金谷川など福島市の南部地域の住民が心豊かに暮らせる生活環境を実現させようと活動している団体です。「コミュニティー・シンク・タンク」と「コミュニティー・ドゥー・タンク(特定の問題解決に向けた行動実践の伴う集団)」という手法で、住民自ら問題を見い出し、解決を導き出す事業を住民とともに創造し続けています。


飯舘村仮設住宅循環「くるりんバス」 松川地区、立子山地区、飯舘地区、蓬莱地区の方々に、毎週木曜日のカラオケ無料開放の声掛けをしています(福島市松川町蓬莱橋近くの「あぶくま茶屋」)
▲飯舘村仮設住宅循環「くるりんバス」 ▲カラオケを楽しむみなさん。NPOほうらいでは、松川地区、立子山地区、飯舘地区、蓬莱地区の方々に、毎週木曜日のカラオケ無料開放の声掛けをしています(福島市松川町蓬莱橋近くの「あぶくま茶屋」)


大震災と原発事故の年は救援物資の拠点として活動

 大震災と原発事故が起きた2011(平成23)年は、避難所へ救援物資を運ぶ一大拠点となって活動しました。当時の様子をスタッフの煙山造さんに伺うと「大型トラックで運ばれてくる大量の飲料水とその他の支援物資の集積所がないということで、急きょ空き家だった『あぶくま茶屋』を借り上げました。そこから福島市内はもちろん相馬市、会津、三春にも支援物資を運びました」と話してくださいました。

 息つく間もなく、共に救援物資の配送を行った地元の農家の方々と農地の放射能削減実証実験にも取り組みました。「その後、あぶくま茶屋に、ご寄付いただいた放射能測定器を設置して皆さんが育てた農作物の放射能の測定をするようになるんですが、それは今も続いています」。時期を同じくして阿武隈山系の女性たちで組織する「かーちゃんの力・プロジェクト協議会」から、あぶくま茶屋を活動拠点にしたいという申し出があり、以来互いに協力し合いながら活動を続けています。


福島市松川町にあるコミュニティ茶ロン「あぶくま茶屋」。 昨年から茶屋でランチも始まりました。
▲昨年から茶屋でランチも始まりました。
●問い合わせ:かーちゃんの力・プロジェクト協議会TEL024-567-7273


仮設住宅で暮らすみなさんお買い物を支援する「くるりんバス」

 現在、NPOほうらいでは、飯舘村仮設住宅循環「くるりんバス」の運行(無料)、地元の農家支援として農産物の放射能数値の測定と測定を済ませた野菜を販売する朝市(場所/あぶくま茶屋・日時/毎週土・日8:00~正午)を開催しています。ほかにも仮設住宅や借り上げ住宅で暮らす皆さんも含めた地域住民の介護予防と健康づくりのためのフィットネス事業にも取り組んでいます。無料のくるりんバスは、2011年9月からスタートしました。
 「蓬莱団地周辺に位置する松川町と飯野町に飯舘村の皆さんが暮らす仮設住宅が5カ所建ちました。雇用促進住宅に住んでいる方もいます。買い物に不便という声をきっかけに、コミュニティーバス運営の経験を生かしてバス事業をスタートさせました」。
 慣れないところで暮らす皆さん、特にお年寄りの方々の買い物支援と閉じこもり予防をと思って準備を始めた事業でしたが、路線線など具体的な話し合いを進めるうちに買い物支援だけでなく、仮設住宅間の交流も含めて様々な可能性を内包していることも見えてきました。
 「蓬莱ショッピングセンターで『まちづくりぜえね』さんが運行しているコミュニティーバスと乗り継ぐと県立医大まで行けます」
また、くるりんバスは、蓬莱団地で暮らす皆さんも利用できます。土曜と日曜にあぶくま茶屋の朝市も、近隣の仮設住宅や借り上げ住宅で暮らす親戚や友人を訪ねることもできます。


毎週土曜日と日曜日の午前8時から正午まであぶくま茶屋で開催している朝市。
▲毎週土曜日と日曜日の午前8時から正午まであぶくま茶屋で開催している朝市。NPOほうらいでは、地域内の休耕地を有効利用して放射能減少の実証実験を行ったり、安全性が確認された農作物の販売促進のためのイベント開催、販路開拓などにも取り組んでいます。


カラオケなどの余暇には、人と人を自然につなぐ力がある

 さらに避難生活も丸4年になることから暮らしをマンネリ化させないよう2014(平成25)年から「日帰り温泉&ゆったりハイキング」などの小旅行も企画し開催しています。ほかにも飯舘村社会福祉協議会(以下、飯舘村社協)が開催しているサロン(仮設住宅・借り上げ住宅含めて1回に40人から50人が参加)の送迎も昨年からくるりんバスで行っています。
 「バス事業は、週3回運行という計画で助成金をいただいています。そのうち週2回を買い物支援の路線バスとして、残りの1回分を健康づくりとリフレッシュのための小旅行、借り上げ住宅支援として運行しています」。
 サロンの送迎は、飯舘村社協とNPOほうらいが震災前から交流があったことが話しをスムーズにしました。「仮設住宅だけでなく、広く借り上げ住宅で暮らしている皆さんもサロンに参加してほしいと思っていても住んでいる場所がバラバラ。送迎手段もない。参加したいと思っても参加できない人もいる。どうしたらいいんだろう・・・」という話しを聞き「くるりんバス」で送迎を引き受けました。
 「私たちが行っている事業は、どれも必要不可欠なものばかりです。なかでも特に続けてきてよかったと思うのがカラオケの無料開放です。週1回ですが、おばあちゃんやおじいちゃんたちが本当に楽しく過ごされています。あぶくま茶屋では、のびのび歌えますし、地元の皆さんにも開放しているので友達ができたり、増えたり。飯野ミュージックサークルが開催するカラオケ大会に誘われて出場して、自慢ののどを披露するおじいちゃん、おばあちゃんもいます。余暇は大事ですね。心を開放して人と人を自然につなぐ力を持っています」。


「ほうらい かわら版」
▲小旅行や朝市などの告知、健康づくりのためのフィットネス情報など、暮らしに役立つの情報を満載の月刊「ほうらい かわら版」(NPOほうらいコミュニティペーパーチームが企画制作し約6,000部発行)。福島市南部地域に新聞折り込みで配布しています


地域で暮らす人をつないで健康で心豊かなまちづくりを実現

 2015年は、復興公営住宅への引っ越しがさらに進む年です。NPOほうらいのこれからを煙山さんは「仮設住宅があるうちは、今現在の事業の継続は必須だと思っています。借り上げ住宅に住んでいる方々のコミュニティを再編する支援も考えたい」と話します。
 「飯舘社協の方と一緒にくるりんバスで送迎しながら感じたのは、500m離れるともう誰がどこに住んでいるか分からない状態です。つなぐ仕掛けが必要です。それも同じ地域に住む人同士という大きな枠で考えていくことが大切だと思っています。というのも蓬莱団地自体、高齢化が進んでいます。介護予防や疾病予防のための健康づくりなどは、すべての人に関わる問題です」。
 例えば、「くるりんバス」を活用した小旅行、週1回無料開放しているあぶくま茶屋のカラオケも続けていきたいとのこと。NPOほうらいが運営している「ほうらいフィットネスクラブ」も交流と健康づくりの場として考えています。復興公営住宅で買い物支援が必要というニーズがあれば、そこも考えていきたいと煙山さん。
「様々な事業を行っていますが目指すところはひとつ。地域住民が心豊かに暮らす環境の創造です。主役は、地域に暮らす住民。これからも活動を通して関わり、互いに支援し合いながら、自らの問題を解決するために生れてくる事業を実施していきます」。
 地域や職業、立ち場など、細かな垣根を取り払い多様な力をしなやかに繋ぎ、その力を最大化させて事業を実施していくNPOほうらいのチャレンジは、これからも続きます。



「くるりんバス」 「くるりんバス」
▲NPOほうらいのバス事業、蓬莱団地と飯舘村の仮設住宅が建ち並ぶ松川地域と飯野地域を結ぶ「くるりんバス」。地元のタクシー会社と契約し、27人乗りバスと11人乗りのマイクロバスを走らせています。



●取材を終えて●

 NPOほうらいのスタッフの煙山さんによれば、福島市の南部地域には、震災前からいくつかの自主グループがあったのだそう。発災直後の支援物資の配送には、自主グループで活動してきた農家のみなさん軽トラや軽ワゴンで協力しました。その後、NPOほうらいも含む自主グループ同士で「南部地域住民活動連絡協議会」を結成したことからさらに連携が深まり、事業に合わせてしなやかに繋がりながら活動を続けてしてきました。飯舘村社会福祉協議会とNPOほうらいと、互いの長所を繋いで可能にしたサロンの送迎事業も見事です。なぜできたのか伺うと「震災前から、人と人のつながりを大切に活動してきたからだと思います」と煙山さん。また、福島市南部地域一円に漂う温もりは飯舘村、葛尾村、浪江町など阿武隈山系の女性たちで立ち上げた「かーちゃんの力・プロジェクト協議会」のみなさんもいいつなぎ役になっているとも。「避難地域のお母さんたちが、手を取り合ってつきたての餅を振る舞う『結いもち・プロジェクト』などを開催して元気を届けているんです。イベントには多くの団体が関われますし、多くの人が集まります。そこで交流が生まれて次の元気につながる。私たちは、そういう有機的なつながりをこれからも大切に地域づくりをしていきたいと思っています」とも。間もなく震災から5年目に入ります。今年は、以前にも増して多様なコーディネート力が求められる年になるはず。ともに粘り強く活動していきましょう。(井来子)


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