Vol.11 菅野雄一(シノブリBOX よさこいゆきうさぎ) | はあとふる・ふくしま

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Vol.11 菅野雄一(シノブリBOX よさこいゆきうさぎ)

2014/03/12
 


2011年、震災と原発事故の年、私は農業を始めました。
出荷制限、出荷自粛、放射能・・・人の元気を作るための野菜や果物からは程遠い言葉で初めて作る野菜が売り場に並ばない状況が続き、マイナスからのスタートとなりました。現在は、検査機器などが整いなんとか出荷できるようになりました。この3年間を手紙でお伝えするのに私の拙い言葉では伝えきれないので、活動の一部を紹介させてください・・・。

私が所属しているチーム「シノブリBOX」は、原発事故後にささき牛乳代表の佐々木光洋さんの呼びかけで始めた活動です。福島の「今」を皆さんに知っていただく一つの機会になればとの想いで、それぞれの仕事のかたわらスタートさせました。メンバーは、3軒の農家と1軒のレストラン。牛乳と野菜や果物、加工食品の詰め合わせた信夫の里(※)の不定期ギフトBOXをご注文いただいた皆さまにお届けしています。立ち上げ当初は、検査体制の伝え方などに苦労しました。同時に「食」を伝えることの大切さや受け取ってくださるお客様のことをこれまで以上に深く考えるようになりました。

私が体験した印象深い一件があります・・・ある日、BOXをお取り寄せいただいたお客様からわざわざお電話をいただき「美味しかったからまた買いたい」と言われたことがありました。お褒めの言葉で、ある意味普通の会話のようですが、出荷制限明けでお客様の反応が何よりも気になっていた私は、恥ずかしながら電話をしながら涙を流してしまいました。その言葉が聞きたくて始めた農業。心のなかでモヤモヤしていた厚くて先の見えない霧の向こうから一筋の光がさすような瞬間で、いまここが農家としてのスタートラインなんだと強く実感しました。

「食」を伝え、届ける私たちは、農家も市場も加工業者もレストランも純粋にお客様に美味しくて安全なものを食べて、笑顔に、元気になってほしいという、その想いは一緒です。私は、「食」がお客様に届くまでの一つの役割を担っている一人でしかありません。しかし、その導線にいるものが「私たち」と思いを一つにできたら、これからも本当の意味で「食」を伝えて行けるはずです。

2011年から今日までのことを振り返りながら書き始めたささやかな手紙ですが、今年は当たり前のことをもっともっと大切に、大事にしていきたいです。マイナスから気づいたことを終わりにせず、作り続け、伝え続けることで「シノブリBOX」からもお客様に想いが届けばいいな・・・そう思う今日この頃です。

菅野雄一さん


※信夫(しのぶ)の里 信夫(しのぶ)は、福島県北方にあった旧郡名。現在は福島市内に含まれる。この地の「信夫山」「信夫の森」「信夫の里」などは歌枕として古歌に詠まれた。

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プロフィール
氏名:菅野雄一(かんのゆういち)
イタリア料理店のサービスマンを経て2011年就農し農業を始める。主力品目は、桃、ニラ、キュウリ、イタリア北部の野菜。

生年月日:1977年3月29日生
現居住地:伊達市
好きな言葉:「食べることは生きること」「医食同源」
所属:「シノブリBOX」「よさこいゆきうさぎ」

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