防災を学ぶことは、地域づくりを学ぶこと | はあとふる・ふくしま

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防災を学ぶことは、地域づくりを学ぶこと

2013/12/11
 

愛称「みんぷく」は、スローガン
「みんなが復興の主役」の短縮形です


「3.11被災者を支援するいわき連絡協議会」は震災後、より良い福島を築くために支援する人も支援を必要とする人も共に集い、知恵を出し合いながら活動していこうと立ち上がった団体です。普段は、「みんなが復興の主役」というスローガンを短くした「みんぷく」という愛称で呼ばれています。いわき市内を中心に復興支援に関わってきたNPO法人と任意団体の皆さんが会員で、正会員・賛助会員合わせて50団体が所属しています。「当初は25から26団体でしたが、この一年で倍になりました」と語るのは、事務局長の赤池孝行さんです。
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▲事務局長の赤池孝行さん ▲みんぷくの事務所内



被災者支援のその先にあるもの…
答えは「みんな共に復興を担う仲間」


みんぷくの立ち上げ経緯を要約すると、1つの動きとして2011(平成23)年6月頃から仮設住宅で提供する炊き出しのメニューを調整したり、イベント開催に協力するなど任意団体同士の連携が生まれました。同時進行で震災前からいわき市内で活動していたNPO同士で「何ができるか」という話し合いが始まり、やがてその会議に任意団体の皆さんも参加するようになりました。2012(平成24)年6月頃から会議が本格化し、1年かけて準備をして2013(平成25)年7月16日に法人格を取得。以後、各団体それぞれに専門分野や得意分野を生かした活動を続けながら、みんぷくとして包括的な支援にも取り組んでいます。スローガンは、準備会議の中から生まれました。
「団体名を『被災者支援いわき連絡協議会』としましたが、本当に被災者を支援するだけでいいのかって考えたんです。被災者支援のその先にあるものを突き詰めていったら、みんなが共に復興を担う仲間だってことに気づきました。だから『みんなが復興の主役』。お互いに力を貸したり借りたりする存在なんだということをいつも意識して活動しています」。



活動の3本柱『借り上げ支援部会』
『子ども支援部会』『防災・減災ツアー』


現在、みんぷくでは『借り上げ支援部会』『子ども支援部会』『防災減災ツアー』という3つの柱を掲げていますが部会への参加は義務ではありません。会員の皆さんは、それぞれの活動エリアで直接支援を続けながら定例会で情報を共有し、事務局からの要請に応じてそれぞれのスキルを提供し、包括的な支援につなげています。連絡協議会が最も力を発揮するのは、全国の支援したい方々、企業、団体からの申し出に一つの団体では対応しきれないときだそう。「皆さんと相談しながら個人と団体、企業と団体、団体同士を迅速につないで効果的な活動ができるようにコーディネートしています」。会員の皆さんが力を出し合うと、喜びは倍に、困難と思われたことも以外にすんなり解が見つかるなどさまざまなメリットがあるそうです。
「ちなみに私の出身母体は、地元の消防団員が中心になって立ち上げた『あしたげんきになあれプロジェクト』です。いわき市中央台の仮設住宅で自治会や防犯組織を立ち上げるなど、様々な支援活動を続けてきました。そのときにご縁があったいわき市や双葉郡8町村の社会福祉協議会との連携は、今も大切にしています。行政ができないところは『民間の出番!』そんな感じで取り組んできました。実は最近、支援を続けながら訪問活動がうまくできないとか、無力感にさいなまれるなどの声が聞こえてくるようになったので対人関係についての研修を企画しました。社協の皆さんにも声をかけると『ぜひ!』ということでしたので一緒に話を聞きました。11月は、葛藤や対立は、よりよい未来への入り口というサブタイトルを付けた『紛争解決学入門』を開催しました」。



支援者スキルアップ研修会 研修の様子
▲2013年10月に開催した支援者スキルアップ研修会 ▲「みんぷく研修・交流スペース」は、いわきの復興を加速させるためには、人材育成や市町村の枠を超えた人々の交流と連携のための学びの機会と場所を提供するスペースです。ボランティア団体のミーティングやサークルの集まりにも利用できます



広いいわき市内に点在する借り上げ住宅に
暮らす皆さんをつなぐ合同情報誌


いわき市には、双葉郡8町村からの避難者およそ2万2,000 人が暮らしています。そうした状況の中でみんぷくは、避難を余儀なくされている皆さんのために情報も広くつなぎます。「一歩一報(いっぽいっぽ)」は、借り上げ住宅にお住まいの皆さんのために交流サロンを開催している「ザ・ピープル」「勿来復興プロジェクト」「いわき生活自立センター(ぱお広場)」「シャプラニール」が、それぞれに発行していた情報誌を1つにまとめたものです。2013(平成25)年6月創刊の合同情報誌には、4つの団体が開催しているサロンに集まる皆さんの様子や教室の予定表、みんぷくに協力してくださっている団体の紹介などが掲載されています。「福島県で一番面積の広いいわき市で暮らす皆さんがこれまで限られた場所でしか入手できなかった情報を、合同情報誌にしたことによって広くみなさんの元へ届けられるようになりました」。
みんぷくは、人と人もつなぎます。同年9月からスタートしたまちの交流サロン「まざり~な」は、だれでも気軽に立ち寄れっておしゃべりができるスポットです。丸いピンクのステッカーが貼ってあるお店なら、いわき市に長く住んでいる人も、新しく住み始めた人も誰でもお買い物をするように気軽に利用できます。



img-Z04163144_2 まざり~な
▲それぞれのペースで小さくても一歩が踏み出せるようなお手伝いが出来たらという思いを込め「一歩一報(いっぽいっぽ)」と名付けられた情報誌。こちらのPDFから見ることができます http://www.minpuku.net/publics/index/39/
▲まちの交流サロン「まざり~な」



防災を学ぶことは、地域づくりを学ぶこと
防災拠点は、地域の財産


全国から申し込みが殺到しているという「防災・減災ツアー」(有料)は、多くの要望を受けて被災地見学の案内役を務めるなかから生まれたみんぷくのオリジナルツアーです。被災地の視察や体験談を紹介するとともに、震災体験を「これからの防災」に生かそうというプログラムは、「防災の基本はみんな仲良く」「自分に合った防災用品を、自分の目で買い求める」「備蓄食料の基本はローリングストック」など目からウロコの話しばかり。県内外の自治会や企業、大学の研修などにも利用され、多くの方々がいわき市を訪れています。「時間の経過と共に震災と津波で壊された家屋やがれきが撤去され、当時の臭いも消えていくなかで、災害の甚大さを少しでも正確に伝えようと被災状況を調べて行くと、様々な学びに気づくようになりました。防災を学んでいくと地域づくりにつながるんです。1年前にそこに気づいたので、以来いろんなところに提案しています」と赤池さん。
例えば、みんぷくの事務所の隣にある防災倉庫。「どうしてNPO法人が防災用品を持っているかというと、ここには1,000軒の仮設住宅があるのに防災組織がないのです。避難中に再び災害に遭わないとは限らないでしょう。そのための備えです」。震災後赤池さんは、自身が暮らす町内会の防災訓練も改善しました。「毎年7つの区が合同防災訓練をやっていたのですが震災では、1つも機能しませんでした。連携もメリットとデメリットがあるので、もっとしなやかに連携する方法を区長さんに提案しました」。まず、合同を解体して小さい単位で防災訓練をできるようにして、小さい単位で開催するようにしたのだそう。「回を重ねているとだんだんお年寄りや子どもたちの顔が分かってきます。日々の暮らしで顔見知りになり挨拶ができる間柄になっていれば、災害のときにも声を掛けあえます。今後は、小さい単位で防災訓練を続けて5年後に気づいたことなどを伝え合う場としての合同訓練という形をお願いしているところです」。
これから入居が始まる災害公営住宅も、よその人が来て住むという考え方ではなく、災害公営住宅の集会所に防災拠点を始めから組み込めば地域の財産になります。近隣の皆さんも使える防災システムにすれば、みんなで安心して暮らしていけます。「防災は、考え方一つで地域づくりになっていきます。震災で学んだ防災を日々の暮らしに組み込むなら今!今がチャンスなんです。被災者支援と防災が結びつかない方がまだまだ多いのですが、私たちはこれからもていねいに説明していくつもりです」。



みんぷく事務所 防災用具
▲みんぷくの事務所とその隣にある防災倉庫。防災用品は貸し出しも行っています



防災・減災ツアー 防災・減災ツアー
▲「防災・減災ツアー」では、「震災・津波の被害状況の説明」「被災された方々のおはなし」「自然災害の種類とその対応」「復旧・復興のための取り組みの説明」など災害から学んだことをみんぷくの案内役が伝えます



現在、第4の部会「災害公営住宅支援部会」を
立ち上げるための準備を進めています


最後に、これからについて伺うと「子どもの支援については、それぞれの団体が自分たちで勉強しながら活動を続けて行くことが大事で、そこを無理やりまとめなくてもいいということが分かってきたので、次の部会『災害公営住宅部会』を立ち上げようと準備しているところです」と話してくださいました。「というのも、秋に阪神大震災から学ぶことをテーマに『よろず相談室』の牧秀一先生の講演会を開催したときのこと。当時、多くのボランティアが災害公営住宅への入居をゴールとみなして解散したと聞きました。実は、そこからお年寄りの孤独死や自殺が増えていったということでしたので、私たちもこれからの支援をどうするか深く話し合っていきたいと思っています」。
月に一度の全体会議、どなたでも参加できる勉強会「円卓会議」を通して、いわき市で暮らす全ての人たちと共に歩んでいきたいとしたいと考えているみんぷくは、災害からのさらなる学びとして、障がいを持っている方々の防災訓練も考えているそうです。また、全国の支援したい方々との仲介、防災・減災ツアーの運営(毎月10件)、ボランティアの受け入れは、いつでもご相談くださいとのことでした。

問い合せ先 TEL0246-38-7359 3.11被災者を支援するいわき連絡協議会(みんぷく)




●取材を終えて●
「防災を学ぶことは、地域づくりを学ぶこと」。みんぷくの事務局長、赤池さんのことばには説得力がありました。被災地のことを考えることは、自分たちが住む町のことにつながっていくのですね。本文では触れませんでしたが、みんぷくでは、「肩もみボランティア」や「室内の高いところだけを掃除するボランティア」なども小さなボランティアもコーディネートしています。赤池さんは「掃除や肩もみをしている間のおしゃべりも大事なボランティアなので忘れないでくださいね」と話していました。なかには、みんぷく宛に全国から届く手紙を仮設住宅の皆さんに配達するボランティアもあるそうです。手紙と言えば、四国の定時制高校に通い生徒さんと仮設住宅に暮らすお母さんたちの話にも胸が熱くなりました。その高校に通う生徒さんの多くは、いじめなどで心に傷をもっていて「社会と接点を持たせたい」と担当の先生からみんぷくに電話がきたのだそう。手紙を書いた生徒さん全員に仮設住宅に暮らすお母さん達から返事が届いたときの歓びようと言ったら…。こうした小さな積み重ねがお互いの明日を生きる力になるんですよね。(kamon)








団体名 3.11被災者を支援するいわき連絡協議会(愛称:みんぷく)
代表者 代表理事 長谷川 秀雄(はせがわ ひでお)
事務局長 赤池 孝行(あかいけ たかゆき)
設立時期 2012年6月(法人格取得時期2013年7月16日)
スタッフ 常勤6名
主な資金源 会費、寄付、自主事業、委託事業、補助金・助成金、その他
所在地 〒970-8047 福島県いわき市中央台高久2丁目26-4
TEL 0246-38-7359 FAX 0246-38-7359
URL http://www.minpuku.net/
E-mail info@minpuku.net
■県内外からの支援活動についての問い合わせや相談について
・HP「みんぷくネット」にて被災者支援、復興支援情報を発信中
※講演会、学習会、イベントなどについてHP内の掲示板にて提供中。
■現在、共に活動しているNPO法人、市民活動団体等
理事・監事選出団体
・あしたげんきになあれプロジェクト
・NPO法人いわき自立生活センター
・NPO法人いわき自立生活センターNPOセンター
・NPO法人CoCoT:コミュニティ・コーディネーターズ・タンク
・NPO法人ザ・ピープル
・NPO法人シャプラニール=市民による海外協力の会 いわき事務所
・NPO法人なこそ授産所
・NPO法人いわき放射能市民測定室たらちね
顧問
・社会福祉法人いわき市社会福祉協議会
※その他正会員・賛助会員含め50団体については、みんぷくネットでご覧ください。


主な支援事業


  • ・借り上げ住宅入居者の支援部会
  • ・子ども支援部会
  • ・防災減災ツアー(体験学習ツアー)
  • ※震災・津波の被害状況の説明、被災された方々のおはなし、自然災害の種類とその対応、復旧・復興のための取り組みの説明、津波の高さを視覚的にわかる説明、がれき置場と自然発火、防御訓練の説明、津波を軽減させた道山林の説明

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