社会福祉法人 福島県社会福祉協議会 避難者生活支援・相談センター

ちょこっと散歩

2013/03/05
 

散歩をきっかけにつながる心の輪、育まれる支え合いが、
震災後を生きる力、地域のにぎわいになっていく




桑折町の案内人と浪江町のみなさんが
桑折町を訪ね歩く「桑折学 ちょこっと散歩」



「桑折学 ちょこっと散歩」(以下、ちょこっと散歩)は、毎月第4木曜日、浪江町のみなさんが桑折町の案内人と避難先の桑折町をゆったり歩く片道約30分のお散歩です。
2011(平成23)年12月から始まった散歩には、毎回20人くらいの参加があり、桑折町の歴史を訪ねたり季節ならではの絶景を堪能したりしています。コーディネートしているのは、伊達桑折×双葉浪江=交流と賑わいづくり応援プロジェクト連絡協議会の事務局のNPO法人市民公益活動パートナーズ(以下、パートナーズ)です。
「避難所から桑折町の仮設住宅に引っ越してこられる浪江町のみなさんに、桑折町を知っていただこうと思ったのがきっかけで始めました。避難先の町のことを知っていれば、福島市や二本松市などほかの地域に避難している親戚や友人が訪ねてきたときに案内することもできます」と古山郁さん(NPO法人市民公益活動パートナーズ代表理事)。

最初は、桑折町の名所旧跡を訪ねる散歩コースを設定

まずは、桑折町の歴史から知っていただこうと1回目は、郷土史家の協力を得て、町の中心部から南西側に続く名所旧跡を訪ねました。続いて「桑折温泉 うぶかの郷」まで歩くコースや江戸時代の始めに造られた灌漑用水路「西根堰」を訪ねるコースなど、毎回、自由参加の楽しい散歩を続けています。
事務局のパートナーズには、参加されたみなさんから「全然知らないところに来たのでどうしようかと思っていましたが、みんなと一緒に知ることができたのでよかったです」「地図はあってもやっぱり歩いてみないとわからないので、毎回楽しみにしています」「商店街の人と顔見知りになるいいきっかけになりました」など、うれしい声が届いているそうです。

▲「桑折学 ちょこっと散歩」~町の名所旧跡を歩く~。
桑折町の歴史家の説明を聞く皆さん。参加費は無料です(2011.12.22.)

▲「桑折学 ちょこっと散歩」~お花見~。歩きながらのおしゃべりも楽しみの一つ。
毎回、仮設住宅の方も借り上げ住宅の方もみんなで一緒に楽しい時間を過ごしています(2012.4.26.)




▲寒い季節の散歩の代わりに、これまでの散歩をふり返りながら制作した
『浪江町民が選ぶ 桑折町 ~おすすめスポット・ランキング~』。
地図には、花の名所や癒される風景も載っています



2年目は、商店街をゆっくり歩く散歩を町のお母さん方と…
2月の散歩は「雛めぐりに行こう!」


2013(平成25年)3月には、1年が経過した節目として『浪江町民が選ぶ 桑折町 ~おすすめスポット・ランキング~』を制作しました。2年目に入った現在は、町中をゆっくり歩こうと「桑折町 ちょこっと散歩」と、「学」を「町」に一文字変えて続けています。案内人は、町の女性団体連絡協議会のみなさんです。同年2月28日(木)の散歩は、「雛めぐりに行こう!」というタイトルで開催されました。当日は、30人を超える参加があり、桑折町のみなさんと浪江町のみなさんがつくった「さるぼぼ」や「桃雛飾り」などのつるし雛を巡って歩きました。

▲「桑折町 ちょこっと散歩」で訪ねた無料休憩所
「西町お休み処」(2012.11.28.)

▲桃雛飾り




これまでのちょこっと散歩をパートナーズの古山さんに振り返っていただくと、「回を重ねていくほど、当初予想しなかった展開がありました。続けてきたからこそつなぐことができた支援の輪だと思っています。これからの広がりが楽しみです」と話してくださいました。
たとえば、散歩で伊達崎公民館に立ち寄ったときは、桑折町婦人会のみなさんから昼食のおもてなしがありました。昨年のお花見のときは、案内人の方からお団子、桑折町社会福祉協議会から飲み物の差し入れが届きました。仮設住宅の中で生まれた浪江町の女性達による調理ボランティアグループ「ピーチピーチ」のみなさんからおにぎりの差し入れが届いたこともあったそうです。ほかにも散歩をきっかけに、もっと遠くに行きたいと秋の紅葉を楽しむウォーキングを開催したり、桑折町の方の呼びかけで仮設住宅の敷地の隣にある日本庭園の清掃活動を浪江町のみなさんと一緒に行ったこともありました。
散歩をきっかけにつながり広がる温かい心の輪、育まれる支え合いが、震災後を生きる力、地域のにぎわいになっていくのですね。まさに継続は力ですね。

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