お口のケアが命を救う! | はあとふる・ふくしま

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お口のケアが命を救う!

2011/06/27
 

みなさんは「お口の中をキレイにしておくと肺炎の予防になる」ということを知っていますか?


■肺炎は高齢者の命を奪う最大の敵!
実は肺炎は高齢者にとって非常に怖い病気です。
日本人の死因別死亡者数では、がん、心筋梗塞、脳卒中に次いで第4位を占めており、今も増え続けています。
特に後期高齢者においては死因の第1位であり、高齢者にとって肺炎は命を落とす最大の疾患なのです。
高齢者の肺炎の約8割は「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」という肺炎です。
「誤嚥」とは、誤って飲み込んでしまうこと、つまり食物や唾液が本来の通り道である食道ではなく気管に入ってしまうことです。「誤嚥性肺炎」の多くは夜間に唾液を誤嚥することによって唾液中の病原菌が気管から肺に落下し、そこで増殖することによって発病します。
したがって、飲み込みの反射が低下しなおかつ体力が低下した高齢者に多いのです。
「誤嚥性肺炎」を予防するには
①歯ブラシや洗口剤(うがい薬)で入れ歯の表面や口の中の病原菌を少なくすること
②しっかりと栄養を摂って体力を低下させないこと
が重要になります。

■災害時には肺炎が増える!
さて、このたびの大震災で被災された方は当初極端な水不足を経験されたと思います。
命をつなぐために必要な水の確保にも苦労するような状況では歯磨きをすることなど考えられなかったと思います。
私たちも16年前の阪神・淡路大震災でまったく同じ経験をしました。
口の中のバイ菌が肺炎の原因であることなど誰も知りませんでしたから、私たち歯科医師も歯なんか磨かなくたって死にゃしないと思っていたのです。その結果、避難所から多くの高齢者が肺炎で亡くなりました。
地震や津波による直接的な死因ではなく、震災に関連した内科的な病気で地震よりも後に発生した死亡のことを関連死(震災関連死)といいます。
阪神・淡路大震災ではその数は約1000人で、ほとんどが高齢者でした。
内訳をみると肺炎が最も多く24%を占めています。
事実、平成7年の神戸市における肺炎死亡者数は前後の10年間で突出して多いのです。
そして、この肺炎の多くは水不足のために口の中が汚れたままになり病原菌が増えることによって起こる「誤嚥性肺炎」だったと私たちは考えています。

■お口のケアで肺炎予防!
では、災害時に起こる誤嚥性肺炎の予防はどうしたらいいのでしょうか。
先に挙げた2つのうち、②の栄養状態を上げることは、物資の届きにくい大規模災害では困難ですが、①の「口や入れ歯の清掃」は少量の水があれば可能です。
普段、介護施設などでは徹底したお口のケアを実施すると肺炎の発症率を約40%減らすことができるといわれていますが、これは災害時の避難所でも同じだと思います。
関連死は、ストレスや体を動かさない不活発な生活、高血圧や糖尿病の悪化なども原因として挙げられています。
お口のケアとともに十分な睡眠や運動、薬の飲み忘れをなくすことなども心がけましょう。

●お口のケアのポイント●
1) できるだけ歯ブラシを使いましょう。電動歯ブラシでもOKですが、うがいだけでは不備です。
2) 舌や頬の粘膜も柔らかめの歯ブラシできれいにしましょう。汚れるのは歯だけではありません。
3) 入れ歯も歯ブラシで磨きましょう。入れっぱなしの入れ歯は病原菌の温床といわれてます。
4) お口のケアは毎食後に行うのが理想ですが、夜寝る前に行うのが最も効果的です。
5) 災害時のお口のケアは、虫歯や歯周病の予防ではありません。
「高齢者の命を守るケア」であることを肝に銘じてください。

最後に、神戸から被災地の1日も早い復興と被災された方々の健康保持をお祈りしています。

神戸常盤大学短期大学部口腔保健学科 教授 足立 了平

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