社会福祉法人 福島県社会福祉協議会 避難者生活支援・相談センター

社会福祉法人 福島県社会福祉協議会
生活自立サポートセンター

2018/12/20
 

近くに心配してくれる人がいる。
そのことを根気強く
伝え続けることが、大事なんだと思います。
じっくりと、時間をかけて──。


▲生活自立サポートセンターの皆さん。所長兼主任相談支援員の井間亮さん(写真右から2番目)


福島県社会福祉協議会では、福島県より委託を受け、46町村を対象に自立相談支援事業を行っています。今回ご紹介する「生活自立サポートセンター(以下・センター)」は、働く場所が見つからない、引きこもりの子が心配など、生活や家族、お金のことなどの悩みに関する相談を受け付けています。センターの活動について、所長の井間亮さんに話を聞きました。


■ センターの活動について教えてください。

井間さん
私たちセンター職員は、生活困窮者自立支援法に基づいて活動しています。この制度は、生活保護に至る前の段階の「第2のセーフティネット」として機能するもので、複雑な課題を抱えた生活困窮者の自立支援と、よりよい地域づくりを目指しています。



■ どのような相談事業を行っているのですか?

井間さん
私たちセンター職員は、生活困窮者私たちの事業は「自立相談支援事業」「住宅確保給付金の支給」「一時生活支援事業」と大きく分けて3つの柱があります。県下にセンターの窓口として4事務所(県北、県中・県南、会津、相双)を設置しており、総勢18名体制で46町村を対象に活動を行っています。



▲生活自立サポートセンターのPRポスター。相談者の悩みをたらい回しにしないワンストップ型の相談窓口が特徴で、ひとつの窓口で包括的な支援を受けることができます。


■ 最近の傾向について教えてください。

井間さん
最近の傾向としては、仕事の関係でその地域に移り住んできた方が、地域において孤立し生活困窮に陥るケースが多く見られます。また、地域に長く住んでいる高齢者であってもご近所づきあいが出来なくなり、孤立して生活困窮になる場合もあります。こうした方は一人で問題を整理して相談することができないので、問題が大きく複雑になってしまいます。対策としては、地域の民生委員さんなどの助けを借りながら、生活自立サポートセンターにつながるようにしています。




▲センター所長の井間さん。支援対象者がセンターに直接相談を持ち込むケースは少なく、役場、ハローワーク、市町村社協、民生委員さんや生活支援相談員などとの連携が大切と話します。


■ 孤立している方への支援はやはり難しいですか?

井間さん
そうですね。生活困窮者には3つの「ない」があると言われます。ひとつ目は『相談する場所に行けない』。交通手段がないし、身体的障がいや病気を抱えている方もいます。ふたつ目は『相談する相手がいない』。社会的に孤立していますから、親類縁者も友人も誰も相談に乗ってくれる人がいません。こうした状態が続くと、うつや引きこもりになるケースもあります。最後は『情報がない』です。困っている状態を抜け出すための情報を集めることができませんし、支援制度があることも当然分かりません。この3つの『ない』は、生活困窮者に共通することと言えます。



▲生活自立サポートセンターでは、フードバンク(まだ食べられるにもかかわらず廃棄されてしまう食品を食べ物に困っている人に届ける)活動も行っています。


■ 生活困窮者の3つの『ない』を『ある』にするにはどうすれば?

井間さん
すべてをいきなり『ある』にするのは難しいので、まずはひとつでいいんです。たとえば相談する相手がいない人には、関係機関の皆さんと連携しながら地道にコミュニケーションをとれるようにします。たとえ会えなくても、名刺や置き手紙をそっとドアに挟むなどして、あなたを心配してくれる人が近くにいるんだよということを伝えます。カチカチに凍った心を溶かすには、時間と労力がかかります。



▲取材中も問い合わせの電話が何度もありました。職員一人ひとりが丁寧に説明、対応しています。


■ 支援対象者との『つながり』を作ることが大事ということですね。

井間さん
どうすれば相手とつながることができるか。その糸口を探すところからです。たとえば、経済的に困窮を抱えている家庭の場合、お子さんの学習面等の相談支援を行うことにより親御さんとの信頼関係が生まれ、自然なコミュニケーションをする中で親御さんの仕事や生活面での相談ができるようになり、生活の自立に向かうこともあります。



■ 相談業務は今後どのような点が重要になってきますか?

井間さん
近年の相談事例を見ると、内容は複雑化・多様化していく傾向があります。センター職員も学習によるスキルアップが今後ますます重要になってくると思います。「新たにどこから情報を入手すればよいか」「課題を解決するための別の手段や方策はないか」「どんな支援につなげば一番効果的か」など広い視野が求められます。
もう一つは、心理学的な視点でしょうか。相手の仕草や言動の裏側にある思いを読み解く能力が支援を行う上では必要になりますので、専門家を招いての研修会を開くなどして、スキルアップを図っていきたいと思います。



■ 最後にひと言お願いします!

井間さん
自立支援は生半可な気持ちではできません。相手に対しても失礼ですから。つないだ手を離さないように、制度や組織の垣根を越えて情報を共有していかなければなりません。私たちセンターは、避難者生活支援・相談センターと同じ福島県総合社会福祉センター内にありますので、避難者支援についてもお役に立つことができると思います。



── ありがとうございました。





連絡先

生活自立サポートセンター
〒960-8141 福島県福島市渡利字七社宮111
(福島県総合社会福祉センター内)


■県北事務所(福島県総合社会福祉センター内)
TEL 024-525-8801 FAX 024-523-4477

■県中・県南事務所(鏡石町老人福祉センター内)
TEL 0248-94-7800 FAX 0248-94-7801

■会津事務所
TEL 0242-23-7445 FAX 0242-23-7724

■相双事務所(小高保健福祉センター内)
TEL 0244-32-1753 FAX 0244-32-1783

生活自立相談支援事業のご案内
http://www.fukushimakenshakyo.or.jp/1000/1205.htm

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