社会福祉法人 福島県社会福祉協議会 避難者生活支援・相談センター

本宮市社会福祉協議会(後)

2018/10/25
 

避難者の仲間づくりと地域との交流を支援する~避難先社協の役割~


社協名 本宮市社会福祉協議会
時 期 H23.8~


【背景】

  • 生活支援相談員が仮設住宅を訪問すると、人との交流がなく「寂しい」という声が多く聞かれ、避難者が“集う場”を必要としていることを強く感じた。仮設住宅では、近所にどんな人が暮らしているのかを知る機会もなく、関係づくりが困難な状況だった。そこで本宮市社協は地域支援に重点を置いて活動をした。

  • 震災前から“歩いて行けるサロン”をめざし、市内のあちこちでふれあいサロンを実施していた本宮市社協はサロン開催のノウハウを持っていた。そこで、人と地域と交流して一日でも早く新しい生活に慣れてもらう、津波や原発事故で負ったストレスを癒して欲しいという目的で、さまざまな “集う場”をつくった。



【取り組み】

  • 茶話会
    対象:仮設住宅の住民
    目的:新しい近所付き合いに不安を感じていた住民の交流を目的に開催。
    内容:仮設住宅の集会所でゲームや健康体操で和んでもらい、お茶を飲みながら話をしてもらった。


  • 心をつなぐ交流会
    対象:避難者と本宮市民
    目的:同じ地域に暮らす住民同士、親睦を深めたいという市民の声をきっかけに、避難者と地域住民の交流を目的に開催。
    内容:年に1回開催。レクリエーションや合唱を一緒に楽しんだあと、避難者と市民が同じテーブルにつき、昼食を共にして親睦を深めた。

  • いきいき交流会食会
    対象:本宮市内の借上げ住宅に住む方
    目的:市内各地に居住し交流の機会がなかった借上げ住宅の方を対象に開催。
    内容:第1回は平成24年7月に実施。会は「いきいき交流会」として定例になり、季節ごとに実施した。

    芋煮会
    避難で家族と離れ、孫と会えない毎日に元気をなくしていた高齢者のため、本宮市の子どもを招待し、にぎやかな芋煮会を行った。

    クリスマス会
    参加者にクリスマスケーキのデコレーションに挑戦してもらった。浪江町のケーキ屋さんを講師に迎え、懐かしい地元の商店主との交流が喜ばれた。




  • ふれあいレクリエーション大会・ふれあいいも煮交流会(H24.10~H.27)
    対象:避難者と本宮市民
    目的:仮設住宅の住民から運動不足を心配する声が増えたため、運動不足とストレス解消を目的にミニ運動会を開催。
    内容:玉入れや大玉ころがしなど高齢者も無理なく参加できるプログラムも取り入れた。若年層からも好評で次年度からは週末開催となった。(土日開催)

  • この他にも、餅つき会、米づくり(田植え・稲刈り)なども行った。生活支援相談員は
    住民のニーズをもとに企画、関係機関への協力依頼、チラシの作成、参加の呼びかけを
    行った。避難元社協にも協力してもらい参加を呼び掛けた。



【工夫】

  • 「一緒に食べる」
    一緒に食事をすると会話が弾み自然な交流が生まれることから、各サロンや交流会は「一緒に食べる」ことを意識的にプログラムに取り入れ計画を立てた。体を動かした後に食事を一緒にとることで、これまで交流のなかった避難者同士や避難者と地域住民が和やかに交流を楽しむことができた。
  • 「話し合う時間と共感」
    借り上げ住宅住民向けの「いきいき交流会食会」では、本宮市での生活で困っていることや、不安に思っていることなど話し合うグループワークを行った。参加者は日ごろ感じている避難の辛さを言葉にすることができ、他の参加者とも思いを分かち合うことができた。また、相談員にとっても課題やニーズを知る機会になった。
  • 「絆を育む」
    ふれあいレクリエーション大会では参加者の絆を深めようと、避難者と一緒に実行委員会を組織し、開催日までに何回か会議を行い準備した。また、競技には仮装を取り入れた。何日も前から各チームが集まって衣装の相談や制作に協力し合うことで本番に向けて気持ちが盛り上がり絆も深まった。



【効果】

  • 住民間に交流が生まれると、「縁あって住んだ者同士」と協力しあって住みやすい地域をつくるという雰囲気ができた。社協が主催するイベントに参加するだけでなく、イベントを盛り上げるために協力をしてくれるようになった。
    例/本宮市社協主催の「子どもまつり」で、食べ物の出店を赤十字奉仕団のメンバーと一緒に行ったり、避難者のみのグループで出店することができ、とても盛況だった。
  • 借り上げ住宅住民向けの交流会では、震災以来はじめて顔を合わせたという方が多くいた。「やっぱり本宮市にいたんだ」という反応も多く聞かれ、近くに住んでいることは知っていても、顔を合わせ語らう場がなかった人々に “交流の場”を提供し、交流を再開してもらうことができた。
  • ふれあいレクリエーション大会で実施したミニ運動会は、運営ボランティアの市民も「本宮ボラ連チーム」として競技に参加し総勢380名の大きなイベントになった。競い合ったり、一緒に応援することで一体感や絆が生まれ自然な交流を持つことができた。運動会は好評で若い世代の参加も多かった。その後、参加者が高齢になり運動が難しくなってからは芋煮会として交流の場を継続した。






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