一般社団法人 福島県精神保健福祉協会ふくしま心のケアセンター | はあとふる・ふくしま

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社会福祉法人 福島県社会福祉協議会 避難者生活支援・相談センター

一般社団法人 福島県精神保健福祉協会
ふくしま心のケアセンター

2018/08/15
 

震災、原発、故郷、家族…
福島県ならではの被災者のストレスは、
型通りになんて解決できません。
それでも一人でも多くの声に応えることが
私たちの使命です。


▲ふくしま心のケアセンター基幹センター業務部の皆さん。業務部長の渡部育子さん(写真中央)、企画業務課長の岩見祐亮さん(写真右)


東日本大震災による被災者のストレスは、未だ癒えることなく心に大きな影を落としています。今回ご紹介する一般社団法人福島県精神保健福祉協会「ふくしま心のケアセンター(以下・センター)」は、福島県より事業委託を受け、平成24年2月より被災者の悩みごと相談や支援者の育成など、総合的な心のケア対策を行っています。震災から7年が経過し、支援や相談内容はどのように変化したのか、基幹センター業務部長の渡部育子さんと企画業務課長の岩見祐亮さんに話を聞きました。


■ センターのスタッフについて教えてください。

岩見さん
当センターには、精神保健福祉士、臨床心理士、保健師、看護師、作業療法士、社会福祉士などが常勤しています。私たちは市町村などから依頼を受けて、電話や戸別訪問による相談支援で直接、対象者の心のケアなどを行っています。また、依頼内容に合わせて人材派遣を行っています。たとえばリラクゼーションの講話なら「看護師」、ストレスに関する講話であれば「臨床心理士」「精神保健福祉士」などを派遣しています。




▲渡部さんの前職は田村市の保健師、岩見さんは東京の病院で精神保健福祉士として勤務。スタッフはそれぞれの専門性を活かし、連携することで被災者の悩みと向き合います。


■ 専門分野を活かした個別支援を行っているんですね。

岩見さん
そうです。たとえば面接時に、看護師であれば体調など外側の変化に注意して対象者を観察しますし、精神保健福祉士であれば、言動や社会とのつながりなどをお聞きしながら本人の置かれた状況を確認していきます。ストレスは体の不調として表れることが多く、「最近どこか具合がおかしいところがありますか?」という問いかけが、ストレスの原因を探る糸口になることもあります。



■ 講話のニーズには変化はありますか?

渡部さん
震災が起きてから2~3年目までは、睡眠不足の対処の仕方についての講話の依頼が多かったですね。その後は、ゲートキーパー(自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応ができる人のこと)に関する講話の依頼を多くいただきました。リラクゼーションに関する講話は、今も変わらずニーズが高い状況です。被災者は未だに多くのストレスにさらされているといえます。



▲センターは現在、基幹センターおよび4方部(県北、県中・県南、相馬、いわき)2出張所(会津・ふたば)の体制で活動しています。


■ 震災ならではのストレスもありますか?

渡部さん
震災は自分に原因があるわけではないので、そこが他のストレスと異なるところです。自然災害の他、福島県の場合は原発事故による強制退去や自主避難などもあり、避難者の悩みがより複雑化しています。県内外に避難した方々の声を受け止めようと、センターでは被災者相談ダイヤル「ふくここライン」という電話相談窓口を設けています。



■ ふくここラインには、どのような相談が寄せられていますか?

岩見さん
震災から間もない頃は、避難して辛いといった訴えが多かったのですが、現在は個別での家庭内の不和ですとか、放射能についての不安なども寄せられています。県外に避難して自分は故郷に戻りたいと思っても、子どもが避難先で生まれ育ち地域になじんでいるため戻れないという相談も中にはあります。また、故郷に戻ってきたのはいいけど、地域の様子(人や施設など)が大きく変わってしまって不安という声もあります。



▲ふくここラインでの電話応対の様子。相談の中には、家族や友人関係の悪化・孤独感をはじめ、避難者であることへの偏見や中傷が辛いといった声もあるといいます。


■ 相談内容に特徴などはありますか?

渡部さん
相談内容を見ると、一人一人の個別性が出てきたと感じています。避難者の皆さんは始めの頃は仮設住宅などコミュニティも同じでしたので、悩みや愚痴なども共通でした。しかし今は故郷に戻る人もいれば、戻らない人もいる。それを決められないという人もいます。他の人と共感できる部分が次第に少なくなったため、私たち支援者も対象者の悩みの傾向をつかみにくいところがあります。



■ 現在センターとして力を入れている活動を教えてください。

岩見さん
被災された方は仕事を失い、生きがいの喪失などからアルコールに走る人も多くいます。センターでは、地域アルコール対応力強化事業を実施しており、お酒との付き合い方や飲み方を広く普及啓発することを目的に活動を行っています。新しい概念である「節酒」という考えを取り入れています。これはお酒を断つのではなく、少しずつお酒を減らしていこうという取り組みです。



▲地域アルコール対応力強化事業の啓発チラシなど。今まで地域とのつながり活動を根強くやっていた方が、生きがいの喪失から重いアルコール依存症になることもあるのだとか。


■ 最後にひと言お願いします!

渡部さん
相談者の中には自分の不安を話しただけで気持ちが軽くなったという方もいます。一方で、1回あたりの電話相談の時間は延びている傾向にあり、深刻な相談内容が増えていると感じています。大事なことは、相談者の悩みを早く必要なところにつなぐということです。悩みを一気に解消することは難しいので、本人が問題とどう付きあっていくか、またはどう距離をとっていけるかといった対処方法をセンターでは一緒に考えていきます。一人一人の声に応えることが私たちの使命です。



── ありがとうございました。


連絡先

一般社団法人 福島県精神保健福祉協会
ふくしま心のケアセンター(基幹センター)
〒963-8041 福島県郡山市富田町字町西44-8
TEL 024-983-4272
FAX 024-973-8261
HP http://kokoro-fukushima.org

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