平成30年7月①避難者相談支援と放射線に関する相談/②専門家に聞く!放射線に関する疑問・質問 | はあとふる・ふくしま

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社会福祉法人 福島県社会福祉協議会 避難者生活支援・相談センター

平成30年7月①避難者相談支援と放射線に関する相談/②専門家に聞く!放射線に関する疑問・質問

2018/07/18
 

①避難者相談支援と放射線に関する相談

平成30年6月の訪問は11,680世帯。相談件数は5,105件でした。相談内容の内訳は以下のグラフの通りです。



避難者からの相談が「日常生活」「健康・医療」「家族」の順に多いということは、前回紹介した通りです。今回は、原発事故が起きた福島県にみられる放射線に関する相談を取り上げます。6月に受けた放射線に関する相談は9件で全体の0.2%でした。

平成29年度に当センターが前年度(平成28年度)のデータを基に行った調査によると、1年間で受けた相談のうち放射線に関する相談は641件で全体の0.5%でした。相談の中身は以下の通りです。





平成29年度は放射線に関する相談が308件で全体の0.4%でした。件数は減少傾向にありますが、今後も不安を訴える相談がなくなるとは考えていません。そこで、当センターは毎年、生活支援相談員に放射線の基礎知識を身につけてもらうため、放射線リスクコミュニケーション研修を実施しています。


6月22日に実施した今年度の放射線リスクコミュニケーション研修の様子


研修では放射線の基礎知識とともに、実際に放射線に関する相談を受けた時にどのように受け答えをすればよいのかについてもロールプレイなど用いて学んでいます。相談ごとは内容に応じて行政や専門機関につなぐ対応をしていますが、相談を受ける際に生活支援相談員の言葉が相談者の不安を増長することがないよう、科学的な事実や数字に基づいた情報をお伝えすることを心がけています。


②専門家に聞く!放射線に関する疑問・質問

放射線について福島県で暮らす私たちがいま知りたいことを、放射線リスクコミュニケーション研修の講師である獨協医科大学RIセンター-の高橋克彦講師にお聞きました。


Q1 : 現在、野菜や飲料水などに気をつけて生活していますが、放射線の影響が後世(孫やひ孫)に出て来ることはありませんか?

高橋講師
放射線の影響のうち、遺伝的影響については、現在までに「ヒト」では確認されていません。また今回の事故影響による放射線被ばくのうち、食品の内部被ばくによるものは、食品の安全規制がしっかりしていることもあって、ほとんど問題となるような被ばく量になっていないことがわかっています。
したがって、食品による放射線の影響が後世に出て来る心配をする必要性はないと思われます。



Q2 : 震災以降、体に不調はありませんが、ホールボディカウンターは定期的に受けた方が良いのでしょうか?

高橋講師
ホールボディカウンターは、体内に取り込んだ放射性物質を測定して、内部被ばくを評価する手法です。震災直後は、気体状、微細粉塵状の放射性物質が大気中に多く放出されたため、これを吸い込んだりする他、汚染した食品を飲食することで、平常時よりも内部被ばくが高くなりました。このため、ホールボディー検査を実施して、内部被ばく線量を評価しました。しかしながら現在は、事故影響による大気中の放射性物質は検出されなくなり、食品も厳しい管理のもとで、安全性が確保されるようになっています。したがって現在は、ホールボディカウンターを継続して検査する必要性は低いと考えます。
事故当初に摂取した放射性物質は、そのほとんどが時間とともに減衰し、また体外に排出されるなどして、今現在は体内に残っていないと考えていいでしょう。



Q3 : 県外の人に福島県の放射線について説明する時に気をつける事はありますか?

高橋講師
事故から時間が経過し、放射線の影響についての関心は大分薄れてきた感じがします。県外において、福島県内の安全性を疑問視する人々も限定的になっています。しかしながら、食の安全をアピールするあまり、安全性ばかりを連呼する過度な宣伝におちいったり、パフォーマンスで安心を得ようとする傾向は、かえって県外の人から不審がられる要因となる例があると感じています。
より一層の安心に向けて、しっかりした食品検査を実施していること、また除染や事故廃棄物の処理が着々と進んでいること、そして復興から未来に向けたあらたな取り組みも開始されていることなども交えて説明することが大切だと思います。



Q4 : 医学の先生や物理、科学の先生など専門家が情報をインターネットなどに出していますが、なにを信じれば良いでしょうか?

高橋講師
インターネットで流れる情報の中には、研究者個人の思い込みや信条、またごく限られた症例データなどを基にした経験から、情報発信を行っている例も含まれています。そのような情報の中で、世界的な権威ある機関による調査結果は、公平性があり、信頼が高いデータが多いと思われます。
例えば、国連科学委員会(UNSCEAR)、世界保健機構(WHO)の事故報告などが該当します。



Q5 : 飛び散った放射性物質を消す研究はされているのでしょうか?それはいつ出来ますか?

高橋講師
原子力発電所の事故によって飛び散った放射性物質は種々ありますが、その中でも、大量に放出され、かつ放射線を長く出し続ける(半減期が長い)物質を管理することが、被ばくを防護するうえで重要です。
代表的なのは放射性セシウムで、半減期がおおよそ2年のセシウム134と、30年のセシウム137があります。
震災から丸7年以上が経過し、セシウム134は1/10以下になりましたが、セシウム137はほとんど減っていません。
このように、半減期の長い放射性物質を管理し、処理することは大変ですが、現在の科学では放射性物質を消す実用技術は開発されていません。したがって、一か所に集めて、放射線の影響が小さくなるように地中などに埋めて管理する方法がとられます。
長い半減期の放射性物質に、中性子などを当てて、半減期の短い物質に変えたり、放射線を出さない物質に変える技術を「核変換技術」と呼びます。国内でも、一部研究に着手していますが、現段階では実用域に達していません。



―ありがとうございました。

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