社会福祉法人 福島県社会福祉協議会 避難者生活支援・相談センター

相馬市社会福祉協議会 「井戸端長屋入居者同士の支えあいの見守り」

2018/06/13
 

平成25年相馬市内の災害公営住宅のうち4か所に、「井戸端長屋」と呼ばれる共同生活型の災害公営住宅が整備された。今回は「井戸端長屋」で暮らす住民の様子と住民を訪問して見守る活動を実施している、相馬市社会福祉協議会生活支援相談員の島 貴美枝さんと和田山 千絵さんにお話を伺いました。

Q1 : 災害公営住宅の新しい形として注目されている「井戸端長屋」ですが、その由来と生活スタイルを教えてください。


島さん
江戸時代の長屋文化に由来があると伺っています。江戸時代の長屋では井戸を囲んで集まって身のまわりの話、世間話をしながら共同生活が営まれていました。この災害公営住宅では共有スペースに置かれた大きなテーブルで食事を共にしたり、共同洗濯機を囲みながら雑談に花を咲かせています。



Q2 : 「井戸端長屋」の入居者の声や相談員さんから見た様子はいかがですか?


和田山さん
入居者は一様に「体調不良など自分の身に何かあった場合の不安が大きなストレスになっていたけど、壁一枚の隣に誰かいると安心する。この生活を長く続けたい。」と和やかに話されています。
また、入居者は食生活に気を付けたり、積極的に散歩や体操をおこなったりと、健康維持に努めています。
入居者の中には、公民館の教室活動などの趣味を楽しんだり、近隣の小学生に「郷土の伝統の舞や盆踊り」を教えたりと生き生きとした生活をおくられている様子です。


入居者が協力し合って七夕飾りを製作中です。


Q3 : 「井戸端長屋」の訪問支援を続けていて印象に残っている事はありますか?

島さん
以前、生活する中で今まで当たり前に出来ていた事が困難になった方がおられ、その方とどう関わるかとの相談を受けました。



Q4 : その相談に生活支援相談員としてどんな関わりをしたのですか?

島さん
入居者たちの様々な視点でのお話しを傾聴し、入居者同士が手助けする様子の見守りを続けました。入居者の方々がより声かけするなど良い変化がみられ嬉しく感じました。



Q5 : 「井戸端長屋」での入居者同士の関係性は、どうですか。

和田山さん
独居の方が多い長屋ですが、入居住民同士、作ったおかずをお裾分けし合う様子や、体調が悪い人がいれば、お互い声を掛け、助け合いながら生活している様子が伺えています。
入居者の方々は季節感を大事にされており、季節ごとの行事を取り入れながら生活しています。七夕飾りやクリスマスツリーを作り共助スペースに飾って“お食事会”などもされています。誰かが声をかければすぐに集まれる場所があり、作業や会合が出来る「長屋」ならではの楽しみだと感じます。



完成した「七夕飾り」


Q6 : 「井戸端長屋」での入居者の新たな課題は何ですか?

和田山さん
高齢化に伴い、身体機能の低下などから生活不活発につながってしまっているケースや介護サービスの利用も増加しています。



Q7 : 生活支援相談員の今後の活動方針や計画をお聞かせください。

傾聴に努め、必要に応じて適切な機関に繋げていくことは勿論、長屋ならではの特性を生かし、住民同士が見守り支え合いながらも、それぞれが生きがいをもって自立した生活を維持していけるよう支援していきたいです。





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